Blog #13 なぜ終日同行が大切なのか?

最近コーチングの研修の中で、良く聞かれる質問に「終日同行と接点同行のどちらが良いのですか?」と言う質問があります。この質問を聞くたびに、以前勤務していた会社で営業所長に営業車の貸与を始めることが決定したという話を聞いた時に、私はひとり猛反対して、その決定を覆すように当時の社長に直談判までしに行ったことを思い出します。つまり、営業所長に営業車の貸与をしてしまうと、MRの営業車の横乗りで同行する機会が減ってしまうこと、つまり同行が終日ではなく接点ばかりになってしまうことを懸念したからです。結局その会社では、同行規定として、終日同行を基本にすることを再確認した上で、ビジネスの効率性を重視して、営業所長への営業車貸与の決定はそのまま実行されました。

確かに、接点同行を主体として営業所長がMRと同行することは一見合理的であるように見えます。顧客ごとのニーズを汲み取り、営業所長の名刺の力を発揮してビジネスを前に進めることができるからです。顧客としても、わざわざ”えらい”人にまで足を運んでもらって、MRの依頼を無碍に断ることも忍びないと言う気持ちにもなろうかと思います。しかも、営業所長としては、午前中にAさん、午後にはBさん、夕方にはCさんと言うように、接点同行であれば効率よく1日に複数のMRと同行指導の機会を持つことができるからです。もちろん、これは都市部の話で、移動時間のかかる地方では、接点同行とはいえ、2人のMRくらいまでかもしれませんが。

しかしながら、考えたいのは、MRとの同行の目的は何か?と言うことです、もし、ビジネスを前に進めることが目的であれば、営業所長の名刺の力でそれは大きな力になることは間違いないでしょう。しかし、もしその同行の目的が部下の育成であったとしたら、その重要なクロージングの面談を1人でやり遂げるという経験をする貴重な機会を部下のMRから奪うことになります。

MRとの同行の目的が部下の育成であったとしたら、接点ではなく、できるだけ多くの時間をそのMRと一緒に過ごすことが効果的です。できるだけ多くの面談を観察し、面談前後で準備と振り返りのミーティングを繰り返し行なって、スキル開発につながるコーチングを行うことはもとより、それ以上に、移動の車中では差し支えない範囲でプライベートの話などを交えながら、リーダーとしての考えやビジョンを直接「語る」時間を持つことに意味があるのです。

「語る」と言うことについて、話は変わりますが、以前勤務してた会社で部下から上司に対するコーチングサーベイを継続的に行なってきた経験があります。そのサーベイの中で、毎年「上司としてビジョンを示してほしい」と言う課題が浮かび上がってきていました。当時は、この課題についてあまり深く考えていませんでした。今日は朝から、某社のチェンジマネジメントの研修資料を準備しておりました。その中で、コッターの変革の8段階の3番目、4番目にあるビジョンを策定して伝えると言う項目に関連して、ビジョンを伝えるための具体的な機会として、同行車中での会話は重要な機会だというスライドを作りながら、はたと、この話をこのBlogで書いておきたいと思って久しぶりに筆を取った次第です。

ですから、最初の質問「終日同行と接点同行のどちらが良いのですか?」に対する私の答えは、「終日同行」であると断言します。「終日同行」であれば、単にビジネスの進展やそのMRのスキルコーチングだけではなく、総合的な組織運営上の課題も含めて、MRとビジョンを「語り合う」時間が持てます。もしビジネス目的の接点同行を部下が求めてきた時には、もちろんそれに応じるとしても、その際に、そのMRが自分で解決できていなくて助けを求めてきた事実を、自身の育成不足だと反省すべきこととして捉えるべきでしょう。そうは言いますが、忙しくて時間が。。。と言われる方がいます。その場合「それはあなたの優先順位の問題ですね」がお答えでしょうか?

この仕事をしていますと、ありがたいことに、直接MRとの同行指導のリクエストを受けることがあります。その日は朝から終日ベッタリ営業車横乗りで若きMR諸君と一緒に奮闘しています。

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