MSLによるScientific Engagement活動とはなんだ?

最近は多くの製薬企業において、Brand戦略の一環として、MSLのProactiveな活動を推進する動きがあるようです。これは、従来のMSLの活動をReactiveな範囲に限定して、顧客訪問も、求めがあったときに訪問し、そこで知り得た情報をInsightと称して会社に報告することが主な顧客活動として、ともすると、会社のBrand戦略に則った製品の説明を行うことは悪とされていたような風潮があったように思います。

しかしながら、ここに来て、MSLにBrand戦略推進の一翼を担ってもらいたいというマネジメントからの要求が強くなり、多くのMSLの方々の混乱を招いているようにも思います。

この混乱から抜け出すためには、MRが担当する製品の処方拡大のためのCommercial Engagementに対比して、MSLによるScientific Engagementの概念を理解することが鍵になります。ではそのScientific Engagementとは具体的にはどういう活動のことを言うのか? 少し考えてみましょう。

Scientific Engagementとは、その名の通り、科学に立脚して、正しい医療のあり方に医師をEngageすることに外なりません。それはMRの行うCommercial Engagementとは何が違うのか?

そこで、重要になるのがPatient Flowによる分析です。Patient Flowとは、その地域にいる対象患者さん全員を100とした時に、受診している患者さんの割合はどれくらいか? さらに受診している患者さんの中で診断が正しくされている患者さんの割合はどれくらいか? そして、診断された患者さんの中で、同種同効薬(クラスが同じ)薬剤で治療させている患者さんの割合がどれくらいか?さらに、その中で当該製品で治療されている患者さんの割合がどれくらいか? と順番に見て行った時に、そのタワー間のGapの大きさを確認することができる分析手法です。 

MRの活動は、主としてこのFlowの一番下流のクラス内でのシェアの拡大にフォーカスがあります。一方でMSLの皆さんの活動のフォーカスはもう少し上流の患者啓発による受診促進や、医師による診断スキルの向上や、Brand選択に偏らない同種同効薬を含めたそのクラスによる治療の普及にEngageすることにあるのです。このことがつまりScientific Engagementであり、MSLの皆さんによる安全でProactiveなEngagement活動の本質であると考えられます。

このようなMSLの活動も、Businessの話なので、大切なことはPlanが重要になります。Business Planを作るときに、エリア別にMRとMSLが一つのPatient Flowの図を見ながらお互いのEngagement活動のフォーカスをどこに、どのように当ててアクションするのかを話し合う機会はとても重要です。

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