Blog #5 “FLMによるフィールドコーチング考察" コーチング上手のFLMと一般的なFLMの違いはなんだ その④ 「顧客とMRの面談観察中は何を意識する?」
一般的なFLMは、同行して医師とMRの会話を観察しながら、いかに自分が発言する機会を持つか、そのタイミングを意識して探しています。それは時にはMRに情報が少ない、中央のKOLの動向や大学病院の人事情報であったり、新着の論文の話題であったりします。その目的は如何に上司としての自分の存在価値を示し、顧客へのインパクトを残すことができるかに意識の重点があるからです。したがって面談終了後のMRとの振り返りの時間では、MR育成のためのコーチングというよりも、自身がどれだけビジネスに貢献できたかをMRとともに確認して、自分のようなインパクトを残せる面談を行うためのアドバイスをコーチングと称して行います。
それに対してコーチング上手のFLMはビジネスの次のステップよりも、ディテール構造を意識して、ディテールの流れを構造分析した時に、どこに目詰まりがあったのかを観察し、どうすれば目詰まりが起こらないかを考えています。
ディテール構造図
つまり、コーチング上手のFLMは、面談の観察において、オープニングに始まり、一般的な治療ニーズの把握 → そのニーズを満たす製品メッセージ → その医師の個別対象患者の抽出 → 個別患者の治療ニーズの把握 → 個別患者に提供できる製品ベネフィット → クロージングというディテール構造の中で、どこに目詰まりがあってスムーズに話が流れなかったのか? あるいは、成功した面談(クロージングで処方行動の変容のコミットメントが得られた面談)では、この構造のどこがうまくいったから最後のクロージングでインパクトがあったのかを観察しています。
しばしば、同行コーチングにけるフィードバックで「クロージングが弱かったね。次はクロージングをしっかり頑張ろう」とフィードバックされているMRがいます。なぜならば、多くの会社において、この「クロージング」が弱いMRは共通の課題であるからです。
しかし、「クロージング」に到達するプロセスに目詰まりがあったら、当然自信を持ってクロージングなどできるわけがないのです。コーチング上手のFLMはそのことが体感的に分かっているので、闇雲に「クロージング」の強化などとは口にしません。ディテール構造に基づいて観察したときに、クロージングが弱くなる、あるいはできない理由はそこに至るプロセスが破綻しているからであることを分かっているからです。FLMのみなさん、フィールド同行で面談を観察する場面では、あなたがFLMとして如何に医師にインパクトを残せるかを意識するのではなく、そのMRの面談が目詰まりなく綺麗に流れているかどうかをディテール構造を意識して分析的に観察してみましょう。そうすることで、そのMRの面談における目詰まりを起こす癖が分かってきます。そうするとその後のコーチングもMRにとって意味の大きなものになることでしょう。