Blog #11 これからのMSLはInsight収集に加えてForesight構築、共有がますます重要になってくる
という、今回はまこと刺激的なタイトルのブログです。
MSLの活動というとInishtの収集ということが第一に挙げられます。Insightとは医師の考えや行動を支えているものですが、今目の前にある事実を質問や、医師の態度を観察することで、その解釈が見えてくるものだということは共通の理解だと思います。その発見?理解?は、その製品の本来発揮されるべき力をいかんなく発揮させて、製品価値を最大化するために非常に重要な活動であることも共通の理解であり、MSLの皆さんはその活動に日々時間とエネルギーを注がれていることと思います。
一方で、新たなエビデンスをもとに、医師の考えに挑戦して、考えや行動を自社の戦略に合わせて変えていただくことに関しては、少しプロモーションっぽい活動になりますから、MSLの本来の業務としていかがなものか?という意見があることも理解できます。
さて、そこで今日の話は、InsightとForesightという話です。Insightを掴むことは今の事実として捉えられてることの根底にあるものを深く掘り下げて理解する作業だとすれば、Foresightを構築し共有する作業は未来に対する理解と目標の設定です。つまり、2年後や3年後のその疾患治療のあるべき姿を医師は本当はどのように考えているのか?新薬の登場、普及や新しいエビデンスの発表があった時に、医療のイノベーションが起きるわけですが、それは患者さんの治療にどのように影響を与えるのか? まさに、20年前にスマートフォンが登場した時と現在との携帯電話の使い方が大きく変わったような、そのような世界を患者治療の場でどう想像し、目標とするのか?そういう話をすることがForesightを構築し共有する作業ということになるのです。
新しいエビデンスが発表になった時、そのエビデンスをもとに医師の治療方針という”考え”を変えてもらうという近視眼的な活動を会社が求めているとしたら、それは初めに申しましたように、ともすると、なんとなくプロモーションっぽくて、MSLの活動としてふさわしくないとお考えかもしれません。しかし、今述べたように、このエビデンスが将来のその疾患治療のイノベーションに与える影響を議論して、どのようなより良い患者治療を実現するイノベーションの可能性があるかを思い描いていただく作業はMSLとしてやりがいのあることではないでしょうか。
そもそも、製薬会社の戦略は、明らかにそのイノベーションが患者の人生を変えるようなレベルであれば、積極的に推進しますが、既存の治療とさほど変わらないものであれば、いわゆる差別化と言われるような微細な違いをもとに自社に有利なストーリーをプロモーション戦略としがちです。ここが大切なところなのですが、そもそも患者利益にならないプロモーションであれば、そこにMSLが加担することは違和感満載でしょう。しかし、どんな小さなイノベーションであったとしても、そのイノベーションをエビデンスに基づいて議論して、この先どのようなあるべき患者治療の姿が実現できそうか?その将来像を医師と話し合い、それによってもたらされる患者利益を医師と共有し、その実現に向けてお互いの活動を合意していくというディスカッションは、プロモーションではなく、医療のリアルワールドでのイノベーションに関する話し合いということになるでしょう。
もう一つ大切なことは、Foresightが実現した時に患者さんや医療従事者のInsightがどのように変化しているかを想定する、つまり将来のUpdated Insightについて考えておくこともとても大切です。なぜならば、そのUpdated Insightを踏まえた議論こそが、より説得力のあるForesight構築、共有のエネルギーになると考えるからです。
