Blog #7 “FLMによるフィールドコーチング考察" コーチング上手のFLMと一般的なFLMの違いはなんだ その⑤ 「コーチングレポートって書く意味があるの?」
今では多くの製薬企業において、コーチングレポートのフォームが準備されていたり、VeevaをはじめとするCRMのシステムの中にコーチングレポートのテンプレートが備えられていたり、FLMはMRとの同行が終了したら、そのレポートに記載して、MRに、そしてそのコピーを上長に送ることになっていると思います。
一般的なFLMはそのコーチングレポートに、おおよそのその日に起こった顧客とのやり取りをサマリーして、MRに話した内容を記載します。その記載内容は、その日のサマリーになりますのでMRにとっては、備忘録としてはとても良いツールではありますが、レポートをもらっても、せいぜい斜めに読んで確認するくらいのことしかしていないでしょう。その後保存されたレポートは二度と誰にも読まれることはないでしょう。そしてまた、次の同行が終わった時には、新たにその日のサマリーとその日に話したことが記載され、保存されます。

それに対して、コーチング上手のFLMは、次の同行の面談前の打ち合わせで使用することを目的にレポートを書きます。決して書いて渡して、それでおしまいというレポートにすることはありません。次の同行時の朝に当該MRとその記載内容を確認することで、改めてそのMRの抱える課題を再認識して、その日の取り組み事項を確認します。したがって、その日のコーチングレポートに記載される内容は、前回からの課題がどのように解決したのか?しなかったのか?新たな課題は何であるのか?といったことが連続性をもって記載されることになります。ですから、その一連のレポートを改めて読み返してみるとそのMRの成長の記録が、顧客とのエピソードを絡めながら一つの物語のように繋がっています。
おおよそ現在ではどのこの会社も、FLMは月に最低でも1日は全ての部下のMRと同行することが求められていることと思います。例えば10名の部下を持つFLMであったとしたら、10の人材成長物語を並行して作成しているようなものです。
コーチングレポートは書く意味があるのか?という問いに対する答えは、意味があるかないかは、それを活用するFLM次第ということになります。ただ、まとめて、サマリーを記録するだけのレポートであったら、意味がないことでしょうね。多くの一般的なFLMはもしかしたらその意味のない、あるいは意味が薄いレポートティングに無駄に時間を使っているのかもしれません。
コーチングレポートは、コーチングを行うものにとっても、受けるものにとっても実はとても重要なツールです。使い方を間違わずに、単にCRMに蓄積するだけのものにならないように、「次の同行の面談前の打ち合わせで使う」ことを意識して活用してみてください。こんな些細なことですが、成果は見違えるほど違ってきます。