“フィールドコーチング考察” コーチング上手のFLMと一般的なFLMの違いはなんだ その① 「同行コーチングのスケジュールはMRが決める?それともFLMが決める?」

多くの製薬企業では、FLM(First Line Manager)による「同行コーチング」をFLM業務の重要な項目として取り組んでいます。本社のSFEチームは、従来のCall/day やターゲットカバー率に加えて、コーチングDayを新たにKPIとして設定して、FLMの活動をトラッキングする会社も多くなっています。このコーチングDayの定義は各社いろいろあるようですが、基本は、接点同行を除いて、終日(少なくとも半日以上)、コーチング対象のMRと一緒に顧客訪問をしながら、そのMRのスキル開発項目について同行面談後にコーチングを提供した回数(日数)をトラッキングしているようです。

したがって、FLMのみなさんは以前にも増してますます忙しくなって来ているようです。特にコロナが5類に移行してからは、MRに対しては一斉に以前のようなレベルでの顧客訪問が求められていますので、それに応じてFLMのフィールドコーチングへの期待は高まっています。

さて、それではコーチングが上手なFLMと一般的なFLMの行動の違いについて、これからこの“世迷い言”の中で解説したいと思います。まず初回は、「同行コーチングのスケジュールはMRが決める?それともFLMが決める?」です。

コーチングの上手なFLMはコーチングスケジュールをFLMが自分で月末に次月1ヶ月分の全MRとのスケジュールを決めてしまいます。それに対して、普通のFLMはMRにスケジュール調整を委ねます。

この違いは何か?スケジュールをMRに委ねると、MRは上司を連れて行っても恥ずかしくない得意先を選びがちになるか、あらかじめ重要顧客とのアポイントのある日を設定しがちです。

実はここに大きな落とし穴があります。つまり、MRが決めた同行スケジュールですと、MRの良い面だけしか見えない、あるいは顧客対策としての同行が主体になって本来のコーチング目的が薄れてしまうことになってしまいます。

コーチング上手なFLMはスケジュール決定をMRに委ねません。たとえその日が1日アポイントメントのない日であったとしても、そのために長時間医局廊下で立ちっぱなしの日であったとしても、あるいは、長時間の車での移動で腰が痛くなりそうな1日であっても、その日1日をそのMRと一緒に過ごします。

なぜならば、そのFLMはそこから見えてくるものの多さ、価値の高さ、一緒に過ごした時間の中でMRとの間に培われるものの大きさは、MRの得意な顧客との和やかな面談場面だけを観察して本来の課題を見失ってしまうことや、重要顧客との面談に同席して自分がビジネスを前に進めているという薄っぺらな達成感を味わうことよりも、そのMRとチームを成長させるために意味のあるものだということをそのFLMは知っているからです。

いかがでしょうか? みなさんの会社ではどのように同行スケジュールを決めてらっしゃいますか?

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