"フィールドコーチング考察” コーチング上手のFLMと一般的なFLMの違いはなんだ その② 「フィールドコーチング対象MRの優先順位は成績が芳しくないMRや新人MRからって本当?」
フィールドコーチングはFLMの役割の中で最も大きなウエイトを占める仕事だと言われます。しかしながら、現在各社のFLMに求められる業務は多種多様であり、なかなかフィールドコーチングに割く時間も十分に取れなくなってきていることも確かでしょう。したがって、どうしてもコーチング対象者に優先順位をつけて、効率的に自身の業務をスケジュールしなければなりません。そこで、今回はその優先順位の付け方について考えてみましょう。
コーチングの上手なFLMは、成績の良し悪しや経験の深浅でコーチングの優先順位を決めません。すべてのMRに平等とした上で、成長意欲の高いMRに対して優先順位を高めにします。
それに対して、一般的なFLMは、より成績が芳しくない/スキルの弱点があるMRや経験の浅い新人MRに優先順位を高め、ともすると成績優秀MRやベテランMRとは数ヶ月間同行がないということもあったりします。
このBlogをお読みになられている方の多くは、ここで「おやっ」と思われることでしょう。なぜならば私たちは、昔からコーチングの目的はMRのパフォーマンスの向上にあって、人材育成の基本であり、まずは十分にパフォーマンスが上がらないMRや経験の浅い新人に時間をかけて育成することが大切だと教わってきたからです。でも、その根拠はどこにあるか不明確なのです。パフォーマンスの上がらないMRに対してどれだけ時間をかけても、コーチングの成果がなかなか上がらないことをご経験の営業マネージャーご経験者はたくさんいらっしゃると思います。なぜ成果につながりにくいかというと、多くの場合その対象者自身に成長に対する渇望感が不足しているからであることが多いのです。その理由はそれぞれのプライベートな事情や将来に対する不安などが影響していることが多いと思われます。
ここで気がついていただきたいことは、コーチング同行対象MRの優先順位を決める基準軸が、コーチング上手なFLMと一般的なFLMでは違うということです。
一般的なFLMは成績や経験の深浅で優先順位をつけがちですが、フィールドコーチング上手のFLMは成績や経験ではなく、まずは成績が良かろうが低迷中であろうが、ベテランであろうが新人であろうが、全員同じ頻度のスケジューリングをします。その後で、あとは本人の成長意欲を軸に置いて決めているということです。なぜならば、まずは、全員に平等に成長機会を提供するという原則の上に、成長意欲の高い人を優先した方がコーチングの成果があがりやすく、短時間で成功例の経験を積んでもらいやすいからです。ひいてはそれはチーム全体の成績を牽引することに繋がっていきます。
さらに、その副次的な効果も大きいのです。それは、成功例の蓄積は成績不振のMRの内省を促しやすいからです。成績不振のMRはともするとその理由を自分以外のところに求めがちです。FLMに言われて、明確な課題意識もなくFLMと頻回に同行すればするほど、自分の成績が上がらない原因をFLMに理解してもらうことに多くのエネルギーを割きがちになります。そうしてFLMも巻き込んで一緒に負のスパイラルに入っていくことになります。それよりもむしろ、彼らにはまずは、自身の成長に向けた内省を促すことが大切です。そのためには、成長著しい同僚の姿と成功例を刺激にしてもらうことが効果的です。その結果、成績不振MRから、具体的な課題を持ってコーチングの要望が上がってくるようになったら、その時は本人の成長意欲が整ったと考えてフィールドコーチングの優先順位を上げてあげましょう。
フィールドコーチング上手のFLMはコーチングを受ける側の成長に対する意欲を常に気にしています。